HUNTER's LOG
MONSTER HUNTER 0

初期武器とギルドと


ルーキーの鍛冶がいきなりハンター個人の依頼など受けることはない。まずは先輩・親方の助手を務め、自身の製作としては広くルーキーハンターのために店売りされている初期武器を鍛えてギルドに納品することが目標となる(多分あの流通はギルドが管轄している)。火山の鍛冶としては、やはり鉄武器を鍛えることになるだろう。

そもそも、何千という(MHFだと万を超えるそうな)武器をひとりの鍛冶が網羅することなどあり得ない。実際にはそれぞれの鍛冶師に専門分野があり、ハンターの間では「その武器系統ならあの鍛冶のところへ行け」というような話になっているものとも思う。

近接の鉄武器

ということで、われらが主人公は大まかに近接武器の鉄武器を専門とする鍛冶である、としよう。本当ならその中でも大剣専門などとさらに細分化することになりそうだが、そこはルーキーということで、いきなり専門を絞り込んではいないという感じだ。ちなみにMHXXにおける店売りの初期鉄武器には以下のような種類がある(ガンランス・スラッシュアックス・チャージアックス・操虫棍・狩猟笛はまったく必要な技術が異なるという想定なので別になる)。

・大 剣 :アイアンソード
・太 刀 :鉄刀
・片手剣 :ハンターナイフ
・双 剣 :ツインダガー
・ランス :アイアンランス
・ハンマー:アイアンハンマー

店売りの初期武器

これらのLV1での使用経験の豊富なプレイヤーというのもまれだろうが、実はこれらには、十分MH0ハンターをやっていける性能がある。

火山でいえば、LV1のハンターナイフで、刃薬以下底上げ措置なし・爆弾などの使用なしでも、村下位のラングロトラを10分で(つまり十時間、初日の日中で)狩ってしまう。他の武器はより強力だ。それで、大剣・太刀・ランス・ハンマーは3000z、ハンターナイフにいたっては1800zで買えるものなので、ラングロトラといわずとも、ウロコトル十頭討伐クエスト一回(素材売り)で元が取れてしまう。

こうしてみると、これらのLV1武器はハンターが最低限の生業を営むのに十分な道具なのであり、決してただの叩き台なのではないことがわかる。また、そのように生業を成り立たせる道具であるならば、それを鍛える鍛冶もその時点で生業が成り立つものと思われる。

これにて勝負あり

普通LV1の鉄武器などといったら、鉄鉱石などが入手でき次第強化したいものであり、プレイヤーとしては全く使わないようなものだ。しかし、ここのルーキー鍛冶ハンターにとっては、そのLv1が目標なのである。それは未だ自分では打つことのできぬ武器なのだ。武器へのリスペクトというのも次元が違ってくる。

当然、ルーキーの打つ武器なれば、上のようなLV1の出来にはならない。ルーキーはまず店売りの武器を買い揃え狩場で使い、併せて自分の打った武器を使い比べ、追いつくように切磋琢磨するのである。その目標の具体化は、店売りのLV1武器を徹底的に使い込むことにより得られるだろう。それでどこまでの狩猟が可能であり、どのあたりで限界がくるのか、そこに関しては専業ハンター以上の知見があるはずである。プレイヤーとして初期武器でのチャレンジというのもままあるが、この背景以上にしっくりくる筋はないと思う。

LV1を徹底的に使い込む

なお、この使い込みの経験は火山や渓流だけで行われるものでもない。色々な環境でその武器がどのような特性を見せるのかもまた実体験として知っておく必要がある(例えば雪山のハンターに鉄武器を勧めるなどしたら素人扱いされる)。各地のルーキーハンターは最初の三年ほどは地元で研鑽を積むものとしたが、この鍛冶ハンターは早くからギルドとの繋がりを得て、遠方の環境へも出かける。初期武器の品質は、各地のルーキーハンターの命を握るのだ。品質管理のために、その流通はギルドの管轄となっている。そこに鍛冶ハンター志望などという人物が現れれば、ギルドも便宜を図るものと思う。

またそのようであれば「未強化武器?」などと鼻で嗤うハンターが来たら、おとといきやがれと塩でも撒く鍛冶になるに相違ない。ハンター側も、鍛冶の初心にはそのような背景があるものと心得、侮ることなく武器強化を依頼するようにせねばならない。

孤島へ行く鍛冶

ところで、セカンドフィールドというのとは別に、火の国の鍛冶ハンターは定期的に孤島(この場合モガ村のある孤島で良い)に赴く、ともしている。これはベアライト石のためだ。上位になると渓流などでも掘れてしまうベアライト石だが、下位では孤島でしか採掘されない。それが本来なのだろう。かつては水没林でのみ採掘されるシーブライト鉱石などもあったが、このような火山では得られない鉱石というのがある。

孤島もセカンドフィールドに準ずる

ゲーム上のストッパの役割なのではあるが、このベアライト石を使い強化することでその武器は一段強力になる(ベアライト石が地の金属を強化する)、と説明される。上のようにLV1武器を目指すルーキー鍛冶ハンターだが、同時にそこから強化する算段もつけておかねばならない(概ねこのベアライト強化の技術までで初心の三年となると考えている)。

鍛冶ハンターはこのステップのために孤島に行くのだ。ただ入手するなら交易でも良いのだが、鍛冶たるものその鉱石の得られる土地の地学的実見が重要なのである。モガ村の村長は若い頃火の国のハンターと一緒にラングロトラを追い回していた、などと話しているが、昔から上のような理由で交流が深いのだとしたい。

もっとも、モガ村の方でもその狩の腕前なり武器鍛錬の技量なりを見て、鉱石の所在を教えるだろう。鍛冶ハンターというのであれば、当然孤島での狩の腕前も見られるものとなる。先に見た遠方での経験という話に先駆けて、まずこの孤島での狩の経験が大きいものだ、としたい。アオアシラやロアルドロスなど渓流でも相手にするモンスターが棲む孤島であるから、そういう意味でも最初の足がかりとして重要な土地であると思われる。

これが重要なステップアップ

燃石炭と出稼ぎと

もう一題、少々筋違いではあるがギルドの管轄する話として、燃石炭の採掘というのがあるとしているので、その話もしておきたい。鍛冶の盛んな火の国に負けず劣らず、大規模な工房を擁するギルド本部のある街(要はロックラックやドンドルマなど)では燃石炭を大量に必要とする。その掘り手が足りないわけだ(火の国の人は自分たちの需要で手一杯である)。それで、ギルドは各地の狩場の閑期にあわせて、ルーキーでも参加できる火山への燃石炭採掘依頼を出している。

各地のルーキーハンターはドラグライト鉱石などは喉から手が出るほど欲しいが、恐ろしいモンスターと溶岩流が縦横に走る火山地帯に踏み入るには相応の年季と武具が必要だ。それで、ギルドと火の国のベテランハンターによって安全が確保されたルートで、大勢集まったルーキーハンターたちに燃石炭を採掘していただく。ハンター自身は燃石炭を直接必要としないので納品していただき、傍ら得られた鉱石はどうぞお持ち帰りください、という「出稼ぎ」枠を毎年ギルドが提供している、というわけである。

このときに合わせて、火の国のハンターはどうするかというと、火薬岩を採集する。例の爆弾処理班のラングロ装備で、同じく火薬岩を必要とする街・ギルドへとこれを納品するのだ(鍛冶自体は火薬岩は必要としない)。これは地元のことなので出稼ぎではないが、時期を合わせた定期収入の道ではあるだろう。

この後どう運ぶのかは知らないが

このような感じに、火の国の鍛治ハンターはギルドへの武器の納品の一方で、こういった仕事もしているのだと思われたい。それで他の地方の村よりも早くから深く中央のギルドと縁を持つことができるのだ。鍛冶ハンターの遠方の狩場への渡りには、こういう背景もあると考えている。

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概要
MHシリーズの基盤にはどのような構成があるべきか、ここでは「MONSTER HUNTER 0」のタイトルでそれを考えてみたい。

▼ 火の国の村

鍛冶とハンターと
極寒の雪山から、舞台は一転して灼熱の火山に移る。ここの話は根本の部分が他と違う。主人公は生粋のハンターではない。火の国の工房村に生まれ育った鍛冶のルーキーである。その彼が(専門には敵わぬまでも)狩猟も行っているのだ。

太古の戦と結晶武器と
どうも火山というフィールドは、われわれの世界でいう活火山とは異なるらしい。曰く、あそこは太古に巨龍との大戦があった土地である。曰く、禁忌の龍の出現した土地である。それらのことにより、大地が火を吹いてかくなったのである……と囁かれる。そこに出土する風化したいにしえの武器どもが、大戦の残滓であるのだ、と。

「探窟」と模倣と
今回はこれまでと全く異なり、ゲームプレイヤーとしての「私」視点からの話としたい。十年前にもやったが、要は私が「おお、これは」と膝を叩いた漫画などゲーム外の要素をゲーム内で模倣してみるという話だ。地底火山を舞台にしたその一例をあげ、あとここ数年でMHの世界を考える上で影響を受けたいくつかの作品を紹介したい。

溶岩竜ヴォルガノス
鍛冶を本業としながら、ハンターとしても日々狩猟を行うという話なのだが、双方の関門にうってつけのモンスターがいる。火山の〝兄貴〟こと、溶岩竜ヴォルガノスだ。MH3・MH4系列には登場しなかったので、MHX以降で初めて対面したというプレイヤーも少なくないかもしれない。

補:武器の背景
「この武器をとことん使いこなしたい」という武器を持つハンター(プレイヤー)はさいわいである。武器種ではなく、特定のひとつの武器ということだ。それがあって、本当に「とことん」だったら、それだけで1シリーズ1000時間の狩猟経験となるだろう。MHにおける武器への愛着というのは、本来そのくらいのものであるはずだ。

▼ その他

森丘とランポスと
それぞれの土地には、そこに良く適応し、旺盛に繁殖するモンスターがいる。これをどう制するかがその土地に村落を営む人々、その村のハンター第一の課題であり、森丘に近いココット村ではランポスがその対象となる。

雪山と弾弓と
ポッケ村と雪山のルーキーハンターの話も、その骨子や構成の仕方はココット村のそれとそう変わるものではない。ここではその辺りはざっと見ることにして、雪山ならではという部分をクローズアップしていきたい。