HUNTER's LOG
MONSTER HUNTER 0

太古の戦と結晶武器と


どうも火山というフィールドは、われわれの世界でいう活火山とは異なるらしい。曰く、あそこは太古に巨龍との大戦があった土地である。曰く、禁忌の龍の出現した土地である。それらのことにより、大地が火を吹いてかくなったのである……と囁かれる。そこに出土する風化したいにしえの武器どもが、大戦の残滓であるのだ、と。

そこでここでは、MH世界の秘密の萃点であろうかという火山と、また関係する事どもとに触れ、その象徴として掘り出される結晶武器というものを考えてみたい。大昔そこで息絶えた竜が結晶化したものとされる、所謂シーブライト武器群のことだ。

禁忌の龍

かつて栄華を誇ったシュレイド王国を滅ぼした黒龍・ミラボレアスは火山と縁が深い。ゲーム内でも、一旦撃退された後に、火山の奥にて紅龍・ミラバルカンとして再生し、再降臨する。開発初期のイメージボードを見ても、この禁忌の龍が火山に降り立つ様子が描かれている。そして、ここにはそもそも禁忌の龍は火山に誕生したのではないか、ないし禁忌の龍の誕生が火山を発生させたのではないかという疑いがある。

MHWには、歴代ゲーム終盤に登場するものだったこの火山フィールドがない。その代わりにあるのが息絶えた古龍たちの生命力が結晶となり集積する龍結晶の地だ。すでに溶岩も流れ出している龍結晶の地だが、いくつかの「世界の仕組み」がMHWにおいて開示されている。まず古龍をはじめとした多くの生物の死に場所がある(瘴気の谷)。これを微細生物が分解し、新たな生物相を作り上げる(陸珊瑚の台地)。一方、死した古龍などの生命の核は結晶となり、地脈として流れ時に集積する(龍結晶の地)。おそらくその結晶の流れる様が溶岩流である。溶岩流が地脈の収束地に堆積して龍結晶の地が生まれるのだろう。

龍結晶の地とゼノ・ジーヴァ

その結晶の集積が禁忌の龍の幼体と思しきゼノ・ジーヴァを産むのだ(ゼノ・ジーヴァが誕生するために自ら龍結晶の集積を呼び寄せているのでもある)。ゲーム上はそこでゼノ・ジーヴァが討ち取られるのだが、あのまま完全な誕生を果たしていたら、周囲の龍結晶は集積する役目を終え、溶岩流に戻っていたのではないかと思う。すなわち、禁忌の龍の誕生の後、龍結晶の地が火山になるのであろうということだ。従来の火山地帯も、太古にこれに同様する出来事のあった土地なのではないかと思われる。

また、こんなことも考えられる。上のような生命力の集積が上手くいかず、不完全な形で禁忌の龍の幼体が産まれてしまうことがあるのではないか。そしてそれはMHWと並行開発されていた作品に合せ鏡のように描きこまれているのではないか。すなわちMHX-MHXXにおいて、古代林の奥の大穴に巣食ったオストガロアこそがその「禁忌の龍の蛭子」なのではないか。

古代林奥の大穴

イカ(というか、古代林的にはアンモナイト的なものか)のようなオストガロアの巣食う竜ノ墓場は、明らかにMHWの瘴気の谷・龍結晶の地を意識した場所である。じっとその場で古龍の生命力を呼び寄せるゼノ・ジーヴァと違い、自らあたりの生命を捕食し、時には海洋に出て巨龍の幼体をも喰らうというオストガロアである。そこが大きな違いなのだが、生命力の集積が上手くいかずに産まれたが故の貪食性と見れば、よく繋がる話かと思う。

さらにいうなら、圧倒的な強者であるにもかかわらず、なぜか擬態を行うオストガロアの習性も説明されるように思う。龍に産まれそこなったが故に、龍に擬態しようとするのではないか。このように考えると、オストガロアがまた怨嗟の慟哭と呼ばれるのもうなづけてくる。それらはまた古代林を舞台とした稿で再話されることになろうが、ここではあの場所もまた「そのような土地」であるとし、そこから「大穴」というキーワードが得られる(「星」というキーワードも)というところを覚えておかれたい。

「奈落の妖星」オストガロア

結晶武器

ところで、古龍や多くのモンスターが死に場所としたそこからは、一方で陸珊瑚の生物相が生まれているのであった。この際、モンスターの死体が分解されず、形を保ったまま結晶化することがある。それがMH3系に登場していたシーブライト鉱石である。シーブライト鉱石はその後オミットされてしまったが、これを素材とした武器群はMHXXまで続投している。エメラルドグリーンを基調としたそれと一目でわかる武器群がそれだ。

シーブライト武器などと呼ばれていたのだが、鉱石そのものは登場しなくなったので、これを結晶武器と呼ぼう。MHXXでは、普通に生産できるようにもなっているが、また火山などで採掘される太古の塊から得られもする。ここでは、上に見た火山の由来を踏まえ、太古にそこを死に場所としたモンスターの死骸が結晶化した鉱石が太古の塊の一種として採掘されるとし、それがこの武器の唯一の生産ルートであるとしたい。武器が掘り出されるのではなく、あくまで得られるのは大きな結晶鉱物であり、それに柄をつけるなどして武器を作製するとする。

結晶武器・ガイアルク

ゲーム上は風化武器の「ハズレ」というものであった結晶武器だが、この背景をもって、風化武器に匹敵する、火山の由来を語るアイテムとすることができるだろう。しかし、鍛冶ハンターであるわれらが主人公にとってはさらに重要な意味を持つものでもある。

MHの世界においては、鉱物と生物の境界は峻別されていない。それはMH1のころから鉱物を食べて暮らしているグラビモスが存在することで明らかだ。今に至るならば、上に見たように結晶鉱物の由来が生物であるといっても良いような具合である。おそらく、歴代ゲーム中に登場するマカライトをはじめとする鉱石は、生物由来なのだと思う。ユニオン鉱石などは、その名からして生物素材と鉱物素材双方の特性を持っていて、それらを繋ぐのに良いものだというような意味なのだろう。

これは鍛冶が先に行って取り組まねばならない重要な課題である。鉄武器にはじまろうが、骨武器にはじまろうが、武器職人はやがてその融合という課題に直面するはずだ。火山の鍛冶として鉄武器からはじまったわれらが主人公も、それらを生物素材となじませていくという課題を持つことになる。そこに結晶武器を重要なものとして織り込みたい。

結晶武器に熟練する

われらが主人公は、ハンターでもあることで、はやくから採掘も自ら行い、他の者よりもこの結晶武器の魅力に取り憑かれてきた。そして、鉄武器の鍛造の基礎に取り組む中でも、生物と鉱物の両特性を持つ結晶武器を自分の鍛える武器の目標としてきた、というのはどうか。実は、おそらく竜人族の鍛冶が秘伝としてきたとまま語られる技術はそこに大きく関係する。

それは鉱物を鍛えた武器に、その鉱物が「生物であった頃の特性を思い出させる(覚醒)」というものなのではないかと思う。ゲーム内の覚醒の仕様は、ハンターのスキルによるものとなっているが(MHX-MHXXには覚醒はない)、本来は鍛冶の業によるものだろう。われらが主人公は(というより、モデルとなったローグがそうだった、という話なのだが)、定命の人としては珍しくはじめからその感覚を持った鍛冶として、ゆくゆく名を馳せてゆくことと思う。その一歩に、太古の記憶を秘めた地元火山での採掘経験と、結晶武器に取り憑かれた経験があったのだ、という話である。このことをもって、火山地帯での採掘作業に「お守りマラソン」よりも一段厚い背景を持たせることができる。

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概要
MHシリーズの基盤にはどのような構成があるべきか、ここでは「MONSTER HUNTER 0」のタイトルでそれを考えてみたい。

▼ 火の国の村

鍛冶とハンターと
極寒の雪山から、舞台は一転して灼熱の火山に移る。ここの話は根本の部分が他と違う。主人公は生粋のハンターではない。火の国の工房村に生まれ育った鍛冶のルーキーである。その彼が(専門には敵わぬまでも)狩猟も行っているのだ。

初期武器とギルドと
ルーキーの鍛冶がいきなりハンター個人の依頼など受けることはない。まずは先輩・親方の助手を務め、自身の製作としては広くルーキーハンターのために店売りされている初期武器を鍛えてギルドに納品することが目標となる(多分あの流通はギルドが管轄している)。火山の鍛冶としては、やはり鉄武器を鍛えることになるだろう。

「探窟」と模倣と
今回はこれまでと全く異なり、ゲームプレイヤーとしての「私」視点からの話としたい。十年前にもやったが、要は私が「おお、これは」と膝を叩いた漫画などゲーム外の要素をゲーム内で模倣してみるという話だ。地底火山を舞台にしたその一例をあげ、あとここ数年でMHの世界を考える上で影響を受けたいくつかの作品を紹介したい。

溶岩竜ヴォルガノス
鍛冶を本業としながら、ハンターとしても日々狩猟を行うという話なのだが、双方の関門にうってつけのモンスターがいる。火山の〝兄貴〟こと、溶岩竜ヴォルガノスだ。MH3・MH4系列には登場しなかったので、MHX以降で初めて対面したというプレイヤーも少なくないかもしれない。

補:武器の背景
「この武器をとことん使いこなしたい」という武器を持つハンター(プレイヤー)はさいわいである。武器種ではなく、特定のひとつの武器ということだ。それがあって、本当に「とことん」だったら、それだけで1シリーズ1000時間の狩猟経験となるだろう。MHにおける武器への愛着というのは、本来そのくらいのものであるはずだ。

▼ その他