HUNTER's LOG
MONSTER HUNTER 0

ハレの日と竜の巣あさりと


採集クエストはゲーム内にたくさんあるが、あれしきで済むものとは思われないので、自分でクエストを作ってしまおう。MH0においては、基本クエストとは自分で作るものである。

ここでは「ハレの日の食材を」という採集依頼が定期的にある、としている。村人の誰かに祝い事があるときに頼まれる。ココット村はハンターの村であるので、ハンター以外の村人の習俗もハンターの作法による。

ハレの日の食材を

ハンター村の祝膳には、地元の狩場からの新鮮な恵みが尊ばれる。ということで、この依頼があると、ココットのハンターは森丘を駆け回って必要な食材を集めてくることとなる。およそ次のようなノルマとしている。

・黄金魚 5尾
・トロサシミウオ 5尾
・サシミウオ 10尾
・特産キノコ 20個
・マタタビ
・ハチミツ 10個
・生肉

マストアイテムは黄金魚

黄金魚が重要だ。公式にあれが食材となっているのかどうか知らないが、昔のMHの小説に、祝いの席には必ず黄金魚のあんかけが並ぶ、という記述があり、気に入っている。必要数には異動があり、席の主役と家族、主賓(大体村長)の人数分、というところかと思う。

トロサシミウオは村長の大好物ということで。サシミウオとマタタビは、今や大概の家に家族同様のアイルーがいるということで。キノコ料理ばかり並ぶのかという風でもあるか、これはゲーム内に出てくるアイテムの制約上のこと。特産キノコ枠は、山菜や野生の根菜類も含むものと思われたい。

また、肉に関しては、ブルファンゴの肉、としたい(故にベースに使うクエストはブルファンゴ討伐クエスト)。その肉はクセが強いと昔から強調されてきたが、昨今は調理法の工夫があったものか、サイコロミートの材料などとして需要がある。

愛好者も少なくないという猪肉

普段食されるのはお馴染みのアプトノスの肉だが、特別な席には一手間かけたブルファンゴの肉を、という昨今の風潮と思われたい。もっとも、ブルファンゴ10頭の討伐では、場合によってはひとつも剥ぎ取れない「ブルファンゴの生肉」ではあるので、数は問わず「とれたもの」とする。

といった具合に、採集クエストというのもこのくらいのボリュームがあるとそれらしくなる。まず、村にどのような需要があるか考え、程よいパッケージを考えよう。衣食住の需要はもとより、医療のための需要や、交易のための特産物採集などもよいだろう。

竜の巣あさり

さて、もうひとつ。上に見た「ハレの日の食材を」クエストに、さらに特別な一品が加わる話。竜の卵が加わる場合がある。その話をもって、もう一歩踏み込んだクエストの背景が作られていく例としよう。

われわれの世界の各地に「鳥の巣あさり」という風習があった。少年少女が鳥の巣をあさるという行為を契機に大人の世界に踏み込むというものだ。主として性的な成熟と関連づけられるもので、東南アジアの昔話などでは少女が鳥の巣に入ったところで、巣のかかる木の下に来た蛇婿(本邦とは違い、蛇は王子様である)と出会ったりもする。そのあたりはMHでは反映できないので、これをハンターの通過儀礼として組み入れてみたい。もっとも、あさるのは鳥の巣どころか竜の巣であるのだが。

ここでは村の少年少女は15才の成人をもって正式に狩場に出る、としているのだが、その一年後か二年後か、もうひとつの通過儀礼を迎える。それは先輩のハンターが村から街へ出て行くときだ。その先輩の門出を祝うため、「次はお前にまかせる」と指名された後輩(これが主人公)がハレの日の食材集めに出る。このときの依頼に、竜の卵が追加される。

このエリアは死と再生の空間

ハレの日というものは、陽性の事物だけで構成されるものではない。多くそれは、死と再生のモチーフを内包するものだ。森丘のあの無数の骨が積もる中に卵がある竜の巣は、まさにその死と再生を象徴する場である。そこに単身踏み込み、竜の卵という新生を象徴するアイテムを持ち帰り、新たに旅立つ先輩ハンターの門出にその料理をそえる。そういったハンターとしての通過儀礼を考えたい。

主人公の後輩ハンターはまだルーキー故、運搬系スキルなど何もなしである。そして、ここで先輩からあの森丘エリア6の断崖を下る卵運びのルートを口伝で教わるのだ。モンスターの卵というのは、ギルドが強力にその採集を規制しているアイテムである。安全に運搬出来るルートなどというのも、公にできるものではないだろう。それが、こうした機会に口伝で密かに教えられる。といっても、先輩がついて来てくれるわけではなく、口頭で示されたルートで「ああ、なるほど」と膝を叩けるだけの経験が後輩側には要求されるわけである。

このルートは口伝で教えられる

このような具合に背景を作っていくと、お使いだの作業だのと散々にいわれてきた採集クエストの、その面目が一新する。もとより、MHのゲームそのものがこうすることを期待してデザインされていることは明らかだ。あれだけ緻密に景色を描き、モンスターを練りし、その割にはゲーム内のクエストの依頼はは世界観を反映しているとは言い難いネタのようなものが多い。舞台道具は用意するから、あとはご自由に、というのがMH本来の姿だろう。

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概要
MHシリーズの基盤にはどのような構成があるべきか、ここでは「MONSTER HUNTER 0」のタイトルでそれを考えてみたい。

▼ ココット村

森丘とランポスと
それぞれの土地には、そこに良く適応し、旺盛に繁殖するモンスターがいる。これをどう制するかがその土地に村落を営む人々、その村のハンター第一の課題であり、森丘に近いココット村ではランポスがその対象となる。

キレアジと骨武器と
色々なアイテムの解釈というものがアイテムの数だけあるわけだが、特にキレアジのこと。その背びれが非常に硬いので、砥石がわりになるという魚である。

ガラス素材と護衛任務と
ハンターの重要な任務に、ハンターではない人々が何らかの仕事をしにフィールドに赴くにあたり、その現場と経路の安全を確保する、護衛任務というものがある。ここでは森丘のセカンドフィールドとしての沼地に採掘に赴く人々の護衛任務という仕事を見たい。

骨素材と虫狩と
ゲーム内のクエストの背景を大きく変えてしまう例をあげよう。今回は甲虫の大発生クエストで、その大発生が村にとって重要なものであり、待ち望まれている季節的な一大事なのだという話をしたい。

狩場の時間とイャンクックと
今回のお相手となるのはわれらがイャンクック先生であります。ゲームプレイヤーとしてはもう十年以上狩り続けている相手なので、LV.2 サーペントバイトであっても5分もかからず狩れてしまうのだが、無論あの世界でそういくわけはない。

激闘リオレイア
ココット村のルーキーハンターは、三年ほど村と直轄の森丘の狩場で基礎を培う。そして、関門とされるモンスターを狩猟してのけたならば、ものになる者として街へ送り出される。イャンクックを狩れればまずまず、リオレイアを狩ってのけたならば期待の新人と見做されるだろう。

▼ その他

交易とレンジャーと
雪山地域は物資に乏しい。セカンドフィールドを併せ考えてなお、そうだろう。そこで、他地域との交易が重要となってくる。雪山での採集は、その交易を行うための「他地域での需要」を見込んだ活動となる。自分の村の需要という視点とは少し異なるのだ。ここでは砂漠地域との交易を例にそれを見てみたい。