HUNTER's LOG
MONSTER HUNTER 0

溶岩竜ヴォルガノス


鍛冶を本業としながら、ハンターとしても日々狩猟を行うという話なのだが、双方の関門にうってつけのモンスターがいる。火山の〝兄貴〟こと、溶岩竜ヴォルガノスだ。MH3・MH4系列には登場しなかったので、MHX以降で初めて対面したというプレイヤーも少なくないかもしれない。

このヴォルガノス、危険度はラングロトラと同じ★4なのだか、実際の討伐難度は段違いである。武具の準備にせよ、立ち回りの練度にせよ、それなりの水準に至っていなければ苦戦必至となる。〝主任〟ウラガンキンとその座をかけて争うともいう、火山の主の名に恥じないモンスターだ。

溶岩塊と炎斬と

モンスターの強さとして、火の国のルーキーの関門にふさわしいヴォルガノスだが、他にもここの話によく馴染む側面を持つ。まずひとつは溶岩塊が得られることだ。MHXXではストッパの役割となっているので、需要の多い溶岩塊だが、これは採集では得られないもので、アグナコトル・ウラガンキンなど火山のボスを討伐することで得られる素材だ(ニャンター派遣で得られるが)。その溶岩塊がヴォルガノスからも得られる(MHWでは得られない)。

MHXXではヴォルガノスからも得られる

いろいろの鉱物要素が溶け混じった塊、ということで重用される溶岩塊は、火山の鍛冶が優先的にその性質に通じておらねばならぬ素材だろう。これを自力で得る機会、という点でもヴォルガノス討伐は鍛冶ハンターに相応しい(アグナコトルとウラガンキンはちょっと格が違う)。

次に、ヴォルガノス武器に目を引くものがある。太刀の炎斬だ。ここの主人公のルーキー鍛冶ハンターは、採掘にも熱心であり、そこで得られる結晶武器の魅力に取り憑かれている、という話だった。その鉱物素材と生物素材の双方に通じる性質に惹かれているのだ。そして、鉄武器を鍛えることからはじまった自分の鍛冶だが、モンスター素材との融合、属性の覚醒という先の課題を見据えている、ということだった。

そこで炎斬なのだが、金属ブレイドにヴォルガノス素材を融合させ、火属性の獲得に成功した武器という、実にここの話にうってつけの面構えをしている。一方の結晶武器も、太刀・ウィンドイーターは、MHXXでは火属性であり、しかも炎斬より一歩属性値が高い。並べその目標とするのにまことにうってつけである。

ウィンドイーターと炎斬【溶】

主人公が住まう環境はユクモ村・渓流の環境に準じているということもあり、アオアシラやロアルドロスと火属性の通りを試す相手にも事欠かない。例によってヴォルガノスといってもまずは撃退を繰り返しているのだろうから、その過程で得られた素材からプレ炎斬とでもいうべき武器を工夫している、という光景が思い描かれる。

溶岩竜ヴォルガノス

そのようなことで、ヴォルガノス討伐である。話としては、鍛冶としてアイアンソードにはじまる店売りの鉄武器の工夫を進め、ベアライト石で一段ステップアップする強化の習得をもってルーキー卒業とするという流れであった。ところが、ゲーム上ヴォルガノスが上位からの登場となるので、ここでも上位下位を並行させることになる。主となる背景は上の通りなので、ベアライト石によるLV3の強化相当の上位強化をLV6として挑みたい。緑ゲージの長さが大違いではあるが、相対的な攻撃力としてはそのあたりだろう。

ゲーム的には手がける武器種としていた、大剣・太刀・片手剣・双剣・ランス・ハンマーのすべてで挑んでみて良いだろう。しかし実際には関門としての単独ヴォルガノス討伐というのは一度だろうから、その一振りをどれとするか悩むところではある。それは鍛冶師としてその武器種を専門とする、という選択でもあるだろう。

とりあえず武器種として普段使いのハンマーが非常に相性が良いので、それでこの無属性の鉄武器シリーズでも十分に通用することを実感してから、他の武器種を試したら良いだろう。MHXXのヴォルガノスは疲労時にグッタリ頭を垂れて動かなくなるので、ハンマー初心者でもそこを狙ってスタンをとっていける相手である。

スタンが奪いやすいヴォルガノス

ともあれここでは、上に見たように太刀に注目している時期ということで、鉄刀でこの関門に挑んだものとしよう。実はMH0にはユクモ村そのものは登場しないのだが(これはMHXXのMH3系の取り込みが上手くいっていないため)、もしあったら「太刀を好む気風」となっていたというところを補いもする。

ようやく実際の狩模様だが、狩の初手には爆破を行うという定跡を敷いていた。強大なモンスター相手では、なまじの武器では基本刃が立たないので、ここでは爆破によって全身にダメージを与え再生力を弱め、その隙に攻撃するという話であった。火山のボスモンスターにはこの定跡が格別によく似合う。

火山のボスモンスターは大なり小なりマグマの中を移動し、身につけたマグマが冷えたものを外殻の補強としている(これが溶岩塊)。ヴォルガノスやアグナコトルは特にそうだ。そして、この冷えたマグマの外殻は熱で軟化する、という設定がある。アグナコトルはゲーム上でも実際そうなっている。MHXXにおけるヴォルガノスにはゲーム上その防御力の変化はないが、その外殻がマグマによることは同じであり、初手の爆破で鉄壁の鎧に隙を作るという定跡がよく馴染むのだ。

開幕爆破がよく似合う相手

その後の流れをまた少しおさらいしておくと、この段階での力関係としては、モンスターが怒ったら一時撤退して無理押しをしない、というのが基本だった。また、ゲーム内の1分を一時間とし、初日の日中を針15までとする。そこから針25までを夜として寝て休むものとし(ゲーム内で実際に10分放置することはなく、採集などするが)、針25から最終盤の攻勢に出るというものでもあった。ヴォルガノス狩猟ではそのままこの流れでよかろうかと思う。

攻撃力・耐久力共に舐めてかかると手痛いしっぺ返しを喰らうヴォルガノスだが、古参モンスターの例に漏れず、攻撃と攻撃の間に明確な隙のある相手であり、太刀の気刃斬り以下狩技の大技などを入れやすい相手ではある。疲労時などは下の画像のごとくなので、なおさらだ。そのため強力な赤ゲージの維持が容易で、こちらの休憩時間を除いて常時その状態で挑めるだろう。

大技を入れやすい相手

もっとも、どのモンスターもそうだが、その攻撃の初動が見えないうちに無闇に突っ掛かかっていたら、回復薬が湯水のように必要となる。当然その攻撃の後の隙も突けないので、(昔ほどではないが)体力のあるヴォルガノスなどはそうそう倒せないという事態となる。ましてやMHXXのヴォルガノスは飛ばす溶岩石がこちらを追尾してくるという不思議能力を獲得しているのであるから、やはりゴリ押しの効く相手ではない。

一方で、そこがそこそこ見定められれば、無属性LV6の鉄刀であっても実は10分ほどで狩れてしまうのでもある。そういった意味では、もし苦戦しているようなら、針15までは武器を構えずひたすら逃げに徹し(MHの古参モンスターはそうすればまず被弾しないようにできている)、動きを見定めるのが良いだろう。そこから攻勢に出ても時間は十分にある。

これを見送って休憩に入る調子で

すでに馴染みのある相手であるというなら、怒り時に攻撃を控えても針10を過ぎた頃にヴォルガノスが足を引きずって逃げるだろう。そこからしばらくは夜なのでハンターは寝る、という話なのだが、せっかくの火山ということでもあり、そこは一周採掘をしてきたら良い。さいわいヴォルガノスは昔と変わらずエリア9・10しか移動しないので、見失う心配というのはない。

そして再度攻勢に出れば、間も無く決着となる。これにて火の国のルーキー鍛冶ハンターの彼も、大手を振ってより広い世界を見聞して行くことができるようになるのである。ハンターとしての技量も見込める人物となれば、おそらくギルドの方でも目をつけてくるのじゃないかと思う。殊に新発見のモンスターの素材を用いる武具を開発するというような話では、こういった鍛冶師が重宝されるはずだ。

まだまだ鍛冶の道は険しいが

ところで、この火の国の村編で鍛冶という点を強調してきたのは、武器の背景に不満がある、という裏がある。武器の数が膨大になって、名前も強化ルートも、さらにはその性質までも作品によってコロコロ変わるようになったので、「オレはこの武器」という愛着がどんどん持ちにくくなっている。昨今では使っている武器の名前すらなんだか分からないということも少なくない(これは当方の年齢のせいもあるが)。

それで、ゲーム上のそれはそれとして、武器の背景というのもプレイヤー側で「作って」しまった方が良いのじゃないかと思えてきた。そのために、その武器を作っている鍛冶の視点を織り込んでおくのが良いだろう、となった次第なのである。火の国の村のルーキー鍛冶ハンターの話はこれにて一旦終わりだが、続けて稿を改めてそのあたりのことを補足しておきたい。

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概要
MHシリーズの基盤にはどのような構成があるべきか、ここでは「MONSTER HUNTER 0」のタイトルでそれを考えてみたい。

▼ 火の国の村

鍛冶とハンターと
極寒の雪山から、舞台は一転して灼熱の火山に移る。ここの話は根本の部分が他と違う。主人公は生粋のハンターではない。火の国の工房村に生まれ育った鍛冶のルーキーである。その彼が(専門には敵わぬまでも)狩猟も行っているのだ。

初期武器とギルドと
ルーキーの鍛冶がいきなりハンター個人の依頼など受けることはない。まずは先輩・親方の助手を務め、自身の製作としては広くルーキーハンターのために店売りされている初期武器を鍛えてギルドに納品することが目標となる(多分あの流通はギルドが管轄している)。火山の鍛冶としては、やはり鉄武器を鍛えることになるだろう。

太古の戦と結晶武器と
どうも火山というフィールドは、われわれの世界でいう活火山とは異なるらしい。曰く、あそこは太古に巨龍との大戦があった土地である。曰く、禁忌の龍の出現した土地である。それらのことにより、大地が火を吹いてかくなったのである……と囁かれる。そこに出土する風化したいにしえの武器どもが、大戦の残滓であるのだ、と。

「探窟」と模倣と
今回はこれまでと全く異なり、ゲームプレイヤーとしての「私」視点からの話としたい。十年前にもやったが、要は私が「おお、これは」と膝を叩いた漫画などゲーム外の要素をゲーム内で模倣してみるという話だ。地底火山を舞台にしたその一例をあげ、あとここ数年でMHの世界を考える上で影響を受けたいくつかの作品を紹介したい。

補:武器の背景
「この武器をとことん使いこなしたい」という武器を持つハンター(プレイヤー)はさいわいである。武器種ではなく、特定のひとつの武器ということだ。それがあって、本当に「とことん」だったら、それだけで1シリーズ1000時間の狩猟経験となるだろう。MHにおける武器への愛着というのは、本来そのくらいのものであるはずだ。

▼ その他

狩場の時間とイャンクックと
今回のお相手となるのはわれらがイャンクック先生であります。ゲームプレイヤーとしてはもう十年以上狩り続けている相手なので、LV.2 サーペントバイトであっても5分もかからず狩れてしまうのだが、無論あの世界でそういくわけはない。

激闘リオレイア
ココット村のルーキーハンターは、三年ほど村と直轄の森丘の狩場で基礎を培う。そして、関門とされるモンスターを狩猟してのけたならば、ものになる者として街へ送り出される。イャンクックを狩れればまずまず、リオレイアを狩ってのけたならば期待の新人と見做されるだろう。

ホワイトアウト
ポッケ村のルーキーハンターもまた、ココット村と同じく三年ほどで関門となるモンスターに単独挑み、街へ出る。この雪山の関門はドドブランゴとなるだろう。